王様ランキングが注目されています。
萌え絵でもなく、教育テレビを彷彿とさせる絵柄なのに、評判です。
なかでも興味深いのは主人公のホッジ王子ですよね。王様ランキングのホッジ王子は、聾唖者です。そして、同世代の弟よりも無力で幼いキャラクターです。でも主人公をやっています。そして彼はしばしば魅力的です。
今回はそのホッジ王子の魅力について、雑プロフィールを交えながら短い雑考察。
プロフィール
ホッジ王子は、ボッス王国の第一王子です。劇中では、既に母親の王妃を亡くしており、父親のボッス王と後妻のヒリングによって育てられました。
特徴的なのは、主人公にしては珍しいろう者であるということ。そのため読唇術と、優れた動体視力をもちます。そして、劇中での初期評価は、ご存知のとおり、優しい少年だが非力で、どちらかというと短絡的で無能に類する子供です。
しかし、そんな彼も、物語タイトルに王様ランキングとあるくらいですから、父王ボッスに憧れ、王になることを夢見ています。
家族は、父親のボッス王、継母のヒリング、そしてヒリングの子で、腹違いの弟にあたるダイダ。
王国での立ち位置は、ボッス王の後を継ぐために、騎士団長他より様々な訓練を受けていましたが、利発さや身体能力にかけることから、幼いままで、思うように能力も評価も上がっていない状況がありました。
そんな中で、物語は始まっています。
性格と関係
さて、そんなホッジ王子ですが、性格はとにかく、非常に優しい子です。いじめる相手にも、自身の苦痛をおして優しくするという、悪意のない善性の塊みたいな存在です。
この優しさは弱さとも強さともとれるもので、劇中ではその評価を真っ二つにしています。ボッス王国には、ホッジ王子に親愛を抱くものと、侮蔑するものとがハッキリ別れています。
現状、多くの人々は侮蔑を抱いているのですが、親愛を抱くものはかなりの強度をもってホッジ王子に気持ちを向け、彼を支えているということです。
文字通り裏の主人公であるカゲはもちろん、継母のヒリングもホッジ王子を強く想っています。
約束された未来と現在の評価
まだ、物語は途上ですが、ホッジ王子が王様ランキング１位になることは確定しているようなものです。おそらく、その過程で多くの人々がホッジ王子の虜になると予想されます。
王様ランキングはそんな王子の苦難を追いかける物語となっていますが──興味深いのは、視聴者の印象もけっこう複雑なあたりですよね。
実は、視聴者の間でもホッジ王子の評価が二分しています。かわいいという人もいれば、うざいとおもっている人もいます。両極端なんですね。確実にいえるのは、彼は注目されているということです。
うざい？かわいい？ながらも、目が離せません（もちろん主人公だからですが）。細かく見ていくと、ホッジ王子のキャラデザインにはちょっと秘密がありそうです。
ホッジ王子は何故魅力があるのか？
なぜこのホッジ王子が魅力的なのか？
普通にみれば、優しいとはいえ、相当いきあたりばったりで能なしな子供です。たとえ他者の心を打つ善性を発揮したとしても、たかが知れていると思うのです。子供に優しくされたからといって、あなたはそれを真に受けますか？現実には「子供だからね」で特に気持ちを動かすこともないでしょう。
しかし、そうであるにも関わらず、ホッジ王子は魅力的です。それは何故でしょうか？ というか、このキャラクターのデザイン、振る舞いには、どんな秘密が隠れているのでしょうか？
これ、私結構悩んだんですよ。善人だから？かわいい？優しい？案外根性がある？どれも決定的な要素にはなりません。しかし見ていくと１点だけ、他のどんなキャラクターよりも主人公として恵まれた性質を持っていることに気づきます。
それは──他のキャラクターがいちばん不安で弱っている時に、欲しいリアクションを返す事ができるキャラである、というあたりです。
ちょっと分かりづらいですね。もう少し具体的に説明しましょう。
ホッジ王子は、常に「優しい」「真っ直ぐな」「善意をもった」キャラクターです。ですが普段はそれが空回りしています。ろう者であることから、王子の想いというのはなかなか伝わりづらいんですね。
ですから、普段は無視されています。
ですが、常日頃からずっと同じスタンスでホッジ王子が行動していると、時折弱った誰かがたまたまホッジ王子と向き合う状況に陥ることがあるのです。この時、ホッジ王子の善性はその人物にぶっささります。その人は、ホッジ王子の虜となるのです。
これが、物語の内外にホッジ王子のコアファンがいる理由につながっています。
こういう性質をもったキャラクターというのはなかなか珍しいと思うんですけど、ようするにホッジ王子って本質的には人たらしなんですよね。聾唖にかくれていますけど──彼はナチュラルジゴロなんです。
ナチュラルジゴロのホッジ王子
彼のナチュラル人たらしっぷりは。ヒリングへの対応にも現れています。
諸々の子供じみたやり取りをしたあとで、彼が選んだ精一杯の愛情表現はチュウでした。
うん、継母にチュウするとか、どんだけナチュラルジゴロですか、って思いますよ。それは心奪われます。ヒリング、嬉しい恥ずかし脳内物質ドバドバでしょうね。
こういった例にみられるように──ホッジ王子は「相手が弱ってていて優しさを求めているタイミングで、予想外の心を奪う答えを相手に返すことができる」スキルを持っているんですね。
それが彼の物語内外での魅力につながっているのです。
