まえせつ前半感想:萌えとリアル芸の合体を目指す、実験的試みは上手くいくのか?

まえせつ!
©2020美水かがみ・KADOKAWA・Studio五組/ファームクラス

まえせつの前半3話が終了しました。

他のところにも書きましたが、3話というのは物語の展開の方向性を提示する、とっても大事な回です。

そして、あんまり注目されていない(失礼)、まえせつというお笑い×萌え×声優アニメは、その3話で具体的にドコを目指すのか、ということをちゃんと提示してきました。

正直、いろいろと実験的すぎて、まえせつがうまくいくのか、おもしろいかどうかなかなか判断が難しかった。アニメとお笑いの融合なんて、本当にそんな事が可能なのか? 第一話から二話にかけて、声優のスキルは垣間見れたし、キャラもかわいいことが分かっていたが、笑いとしては滑っていたこともあって、不安がよぎる。

そして三話もノリとしては、萌えを含んだかわいい笑いが先行していて、芸事とはちょっと断絶していた。引き続きややちぐはぐな様子に見えてしまった。

しかし三話後半──可能性をちょっと見せてきました。

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劇中に、本物のコントを差し込んできた「まえせつ」

やるだろうな、とは思っていたんですけど、主人公グループが、第一線の芸人たちのライブを観覧するというエピソードにおいて、実際の芸人がやる台本や演芸、お笑い芸に基づいた、リアルな舞台シーンを2から3つも立て続けに差し込んできました。

アニメというのはだいたいアフレコなんですけど、当たり前ですが、コント&漫才シーンは、完全にプレスコでやっていました(声を先にとって、それに絵をあわせる)。なので、コントとしての息遣いや呼吸がそのままアニメ絵になるという、かなり臨場感のある演出になっていました。

その絵面自体は、コントの内容とキャラクターの可愛さがかち合って、違和感やちぐはぐさが目立つものになってしまうんですが、一方で、コントや漫才の臨場感はすごい。落語とおんなじで目をつぶって聞けば普通に楽しめるレベルなんですよね。

通常のアニメと違うので、抵抗感があるかもしれませんが、僕はこれは非常に楽しめた。そしてそこには今後の期待感がありました。

第三話で目指すべきところを提示した「まえせつ」

劇中、主人公グループが目指すべきパフォーマーとして「JKクール」というお笑い少女グループが出てきます。主人公らは三話で彼女のライブを観覧します。ここではじめて、劇中でコントを通しでちゃんとやってみせます。そして「JKクール」の漫才は普通におもしろかった。聞けた。

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なるほど、主人公たちの目標はこれなんだ、と。

そして、ここで一つ分かるのは、主人公たちが劇中で見せるアニメコントの最終的なクオリティの着地点もJKクールレベルだということです。つまりは、劇中のスキルフルな声優たちは、実際にコントの練習をして、舞台に立てるくらいには仕上げてくるであろうってことです。

それは、普通に観たいと思えました。それほどまでに、目標として設定された「JKクール」という劇中コントグループはちゃんとしていた。

アニメ内にリアルを持ち込むことの違和感と楽しさを示す「まえせつ」

第三話を見た感じから、僕は視聴決定したんですがが──同時に、これは引き続き難しいよなあ、ということも感じています。

この作品の難しさは、1点に集約されます。視聴者は、架空の萌えアニメ世界を求めているのに、アニメの劇中には、そうでないリアルなコントや漫才の瞬間があって、それら作品世界の没入から視聴者をひっぱりあげてしまうんです。

その違和感を緩和するために、FREAK!という先輩漫才グループを置く等の努力をしたり、アドリブを多くしたり、コント的なノリのやりとりを増やす等の対応をしていますが、やはりどうしても違和感は拭えない。しかし、個人的には一歩引いて「アニメ絵版吉本新喜劇」として、見ると、結構見れると思っています。

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吉本新喜劇というのは、台本×アドリブですよね。アニメの場合は絵が制作物として先行するので、制作過程においてアドリブと相性がわりと悪かったりするんですが、もし、新喜劇的な台本に対して、アドリブがある程度許容される環境があれば、アニメーションにおいても新境地が一つできるんじゃないかな、なんてことを思いました。

リアル×アニメの融合とその可能性

かつての類似作としては、じゃりン子チエとかがそうですよね。あれは吉本の芸人を声優として使うことで、アドリブ的息遣いがすごい作品になってます(まったく世代じゃないのでちゃんと見てないんですけどね。。)。或いは最近でいうと、アドリブに絵がついてくるバビ肉というのもあり、アニメ絵とリアル芸の垣根は無くなってきていると思っている。You TubeチャンネルのOLモモウメとかすごい。

そういう、アドリブの自由さみたいなものに、絵がついてくる時代を見越した試金石として、まえせつというのは非常に試みとして野心的だと思っています。というか吉本もお笑いで二次元進出とか、そいう未来をめざしてたりするんかな?

とにもかくにも、コントという舞台芸──アドリブ的リアルな芸要素が、台本と絵で縛られたアニメにおいて、どこまで魅力を発揮し自由に振る舞えるのか、ワタシ的には期待感がちょっとある。

幾つか気づいたこともあるので、そのうちまた解説します。あんまりアニメファンや一般層からはベンチマークされてないだろうけどねー、まえせつ。

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