ゾンビランドサガR〜2期第1話はパーフェクトなリベンジの始まりを提示していた

ゾンビランドサガ
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ゾンビランドサガリベンジが始まりました。

その第一話について、本当によく出来ていたので雑感。※ネタバレありなので1話見ていない方はお気をつけください。

2期目の作品づくりの難しさ

二期というのは一期の手探り博打状態と違って、ある程度の目算が立っているものです。数字的な予想を立てた上での判断です。

ですが、そううまく行かないのがコンテンツの難しいところでもあります。

特にアニメーションのような作品だと、一期と二期に、かなり間が開くので、数多の新規コンテンツが投入される昨今では、風化してしまう可能性すらあります。

一期が良かったのに二期でダメになる作品というのは、枚挙にいとまがありません。最近だと約ネバは・・・特殊事例ですかね。ええと、二期とは違いますが、映画でいうとエヴァは興行収入は出ましたが、長い年月がたったことで、温度感はちょっと下がってしまいましたよね。鬼滅や呪術廻戦だって、二期をやる頃には、おそらく空気がすこし変わっていると思います(それでもこの2つは外さないでしょうけど)。

そういう状況にあって、ゾンビランドサガリベンジは、二期でどういう出し方をしてくるのか、注目していました。

結論から言えばこの上なくパーフェクトな入り方をしていました。

旧来のファンと新規の視聴者を取り込む作り

ゾンビランドサガという作品は、一言で説明しろ、と言われると、非常に難しい作品ですよね。

ゾンビ女子が、佐賀で、ご当地アイドルをやっていて、スターダムにのし上がることを目指している(ここまではいい)。

マネージャが宮野真守で、主人公がどやんすぅボディの持ち主で、少女たちは7人いて、平成アイドルと昭和アイドルの衝突があって、男の娘の葛藤があって、一人レジェンド声優がまじっていて──とかとか、情報量多すぎなんですよね。で、何が面白いの? となってしまいます。

2期の第一話というのは、旧来の視聴者が「見たい」と思うものを入れつつ、新規のお客様に、ゾンビランドサガというコンテンツがどういうものか一発で説明しなければいけないんです(なんなら、面白そうだと一期を見直してもらいたい)。

これは、お話としてはかなりハードルが高いんですよね。

ところが、二期ゾンビランドサガRはそれをパーフェクトにクリアしてきました。

例えば冒頭で、おつまみギャラリー伊万里(小島食品工業)という実際の佐賀の食品工場にキャラクターの一人がアルバイトするシーンがあります。

ここでは、バイトシーンを経て食品工場の社歌が歌い上げられ、そこから各キャラの説明へと繋がっています。そして、このシークエンスには短いながらも、ゾンビランドサガの様々な情報が詰め込まれているんですよね。

即ち、ゾンビランドサガという作品は──

  • どうやら佐賀を本気で応援しているアニメ
  • 登場するキャラクターは女子高生くらい
  • 牧歌的な風景で進む日常的アニメ
  • かと思いきや歌はガチらしい
  • シリアスとコメディの両方がありそう
  • ああ、アイドルだけど下積みだからバイトしている
  • 脇役もなかなか癖が強い

──等々、同作品の魅力をコレでもかと散りばめられています。

新規のお客さんには興味をもたせつつ、旧来のファンには、いったいあれから何があったんだ?と思わせる展開になっているんですね。ココの情報量は魔女の宅急便の冒頭の情報量に匹敵します。

さてこの、第一話の丁寧さはその後も続きます。

OPシークエンスのあとで、キャラクターたちのアルバイトの理由が説明されると、いくつかのやり取りを経て、そこでこの作品のキーマンである巽幸太郎(CV宮野)のブチ切れた演技と、ゾンビ少女たちの、「謎=彼女たちには時間がない」が提示されます。これは第二期の物語の大テーマですね。

ここで、視聴者は「少女達がゾンビである理由が二期の物語を通して説明される」のだと、理解します。ミステリ的に興味を掻き立てられる。

また、平行して一期のおさらいが描かれ、彼女たちの失敗や出発地点も再度示されます。その上で、当たり前の話ではあるんですが、作品のキモである第一話Bパート後半の歌唱シーンとビジュアルは、リベンジとして申し分のない熱さをもって、視聴者に提示されました。

これで、古いファンも、新規の視聴者も心を掴まれる構造になっていました。これこれこういうの──というような。

監督も脚本家さんも、本当に上手だなぁ、と思えた第一話でした。

ゾンビランドサガリベンジの今後について

さて、ゾンビランドサガという作品は基本的にはコメディです。ですが、作品構造としては、良く考えるとかなり悲しい構造になっているんですよね。

彼女たちは、死体でありいずれ朽ちる存在なんです。つまり、アイドルでいられる期間というのは、ほんとうに短いということです。巽の「時間がない」というのが本当に気になるお話になっている。

アイドルの旬が短いのは、実際の世の中とおんなじですが、同作品はそこに本物の死というものが、ゾンビランドサガのキャラクターたちには仕込まれているんですよね。

これはもう「彼女たちの消滅」がやってくるに決まっている構造ですよね。たぶん、物語の後半には、コメディ交えながらも重い展開が入ってくると思っています。

しかし、それを彼女たちは歌で吹き飛ばし、巽幸太郎は意味不明な演技で笑い飛ばすんだと思うんですよ。そんなもん泣くでしょ。構造からして感動ポルノの確定ですよ。

アイドルと朽ちゆくゾンビをかけ合わせた企画者は、ほんと天才かよって思いますね。

そんなこんなで、物語の結末がちょっと怖くもありますが、早くも今期一位だと勝手に思っている、ゾンビランドサガ、座して楽しんでいきたいと思っています。

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