ソンビランドサガ・リベンジ評価〜二期モノがどうしても背負ってしまうしんどさ

ゾンビランドサガ
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ゾンビランドサガ・リベンジを見ています。

間違いなく面白いんですが、同時にしんどさもでちゃっていてそのあたりの雑感。

一期ゾンビランドサガについて

ゾンビランドサガの面白さは、一期においては、切り口の意外性と、メーターをふりきった展開にあったと思います。あれは、当時まちがいなく衝撃を世間にふりまいていました。

もともとはあの作品は一期で終わる予定だったらしいんですよね。当初の予定としては構成としてキャラクターの過去話を7人分繰り返してオチにつなげる予定だった。けれど、人気が出てしまったので二期へとつなぐ展開になったという話です。

それはウソかマコトかわかりませんが、たしかにそのような構成に見えます。

で、二期にまわされたエピソードというのは、ゆうぎり、たえ、紺野純子、巽孝太郎、そしてわんこのロメロあたりでしょうか。

その判断はセールス的には正しくもありますが、同時に、ハードルの高いミッションを背負うことにもなったと感じています。

ゾンビランドサガは出落ちの作品

思うに、ゾンビランドサガが人気が出た理由というのは、その登場時の衝撃ですよね。

一番最初に少女たちが、何故かゾンビとして目覚めて、そこからわけもわからずアイドルを目指すという。これを1話〜3話でやりきっている。しかも佐賀で。「ああ、ゾンビランド・サガってそういう意味か・・・」という謎の感動があった。各話は、それぞれのキャラクターの過去を掘り下げて、不条理コメディでありながらも、感動を差し込んできていた。その詰め込み方は12〜3話を念頭においた、恐ろしくシェイプされた駆け足構成に感じられた。

だからこその勢いと衝撃があった。ようするに、出落ち作品だと思うんですよ。

おそ松さんとかもそうですけど、ゾンビランドサガのようなネタ系でクセのある作品は、出落ちと勢いがすべてです。そのまま1クールつっぱしるのが、構成としても一番スッキリする。

まどマギがそうであったように。

しかし、アイドル物が曲によるセカンドセールスが期待できることや、佐賀という話題性を作りやすいパッケージであったことから、ゾンビたちは延命されることになってしまった。

その結果、ゾンビランドサガという作品は、本来もっていた、一番の強みである、勢いと出落ちの面白さを使えなくなってしまう。リベンジという作品は、勢いと出落ちに変わる面白さを付与しなければいけない状況にあるんですね。

これは、よく考えるとけっこうハードルが高い。

ネタ系クセ作品の二期のしんどさ

二期構成の作品のしんどさは、過去記事にも書きましたが、二期特有のハードルがあると思っている。

たとえばおそ松さんや、まどマギのマギアレコード、約ねばなんかの、二期ものはかなりしんどいことになっている。一期における全身全霊の出落ちが使えなくなって、二期は、どう作品としての面白さをだすのか?という、一捻りをしなければならなくなっている。

二期前提で構成された作品だとちょっと違うんですけど、一期の人気に寄って延命された作品というのは、どうしても冗長になるし、二期で再構成をしなければならなくなるので、いろいろと大変なんですよね。

そして、ゾンビランドサガ・リベンジも、それらと同じように、どうにか工夫して「場繋ぎ」をしているように見える。

かなり考え尽くして、面白いことをやっているんですが、そこにはどうしても一期の輝きには到達できない状況があと感じる。

リベンジのしんどさ

やっぱりいちばんの難しさは、一期の末でさくらの過去をやっちゃったことですよね。やらないと一期が終わらなかったのでしょうがないんですが、これで物語の最大のミステリが一つ消えてしまった。

で、今はどういう状況にあるかというと、いちおう「佐賀発で天下を取る」という構成になってはいますが、正直な所でいえば、何処へ向かっている作品なのか視聴者と共有出来ていない状況にあると思っています。

いちおう作品上の、ふんわりとした目標やミステリとしては──

1)フランシュシュはどうなるのか?(彼女たちは時間がない)

2)巽幸太郎って何なん?

3)なぜ少女ゾンビがサガに?

という、大きめな物は残っていますが──ただ、この二期のミステリがちょっと弱い。一番のミステリは「彼女たちの時間がない」だと思うんですけど、これは、さくらのミステリにあるようなわかりやすさが無いのがしんどい。

時間がない、というのは毎話匂わせていはいますけど、どうも忘れちゃいます。

だからといって個別の話自体がつまらないかというとそんなことはないので、なんとももどかしい状況にあるのがリベンジだと最近感じているのです。

リベンジよ何処へ向かう

通常の構成でいうと、ちゃんとした作家さんや監督さんなら、そろそろ「このお話はどこにむかっているのか?」を再定義してくると思いますが、それがどこで提示されるか、ですよね。

そこから一気に盛り上がると期待したい。

というか、ゾンビランドサガは、関わる監督も脚本家も実力は申し分ないので、綺麗にまとめてくると思っています。そこは間違いない。

しかし、一方で、ゾンビランドサガという作品が、カリカリにシェイプされた輝きを放つコンテンツになりえた一番の可能性が高かった時期というのは、やはり一期であり、さらにそれを一期の12〜3話に押し込んで完結できた時だったかもしれません。

体操ザムライのような綺麗な終わり方を見ていると、つくづくそう思うのです。

2021年6月26日:追加記事かきました。