かぐや様は告らせたいの3期が決定しました。やるだろうな、と思っていましたが、やっぱりやりますね。
コメディにしてお化け人気作、評価の高い同作「かぐや様は告らせたい」ですが、数多のラブコメの中でなぜ頭一つ抜きん出たのか?
それは、ストーリーの構造以前に昨今流行りの「HowTo」要素や「メソッド解説」的な側面、そしてキャラクターの「群像配置」、さらに「誰も傷つかない」ラブコメ要素があったからだと思っています。
意識高い系HowToの人気
最近の流行というのは、劇中上で新しい視点や知識を与えてくれる物語に人気が向きやすいと思うんですよね。
それは世の中にいる意識高い系な人々が買い漁る「HowTo本」の需要にもみてとれます。もちろん、世の人々は、かぐや様は告らせたいに本気で恋愛HowToは求めていないでしょうが、劇中内で行われるキャラクターどおしの交流と、そこで解説される昨今の恋愛&学園&人間関係事情は、その視点の目新しさや可笑しさもあって、とっても楽しめるのです。
HowToと物語に奥行きを与えるキャラ群像配置
しかし、ただ解説するだけではただのHowTo本やメソッド解説本でしかありません。そこにかぐや様以下、生徒会のメンバーが絡むことで、より一層物語が際立つようになっています。
劇中キャラクターは、生徒会長、かぐや様、藤原書記、石上会計ほか、毎度視点を担うキャラクターが存在し、例えばおなじ題材でもケース別に違う判断が行われることで、メソッドやHowToにバリエーションが生まれ、飽きがこない。
この群像視点がラブコメ&HowToに非常に相性がよかった。
誰も傷つかないラブコメ
さらに極めつけの特徴が誰も傷つかないラブコメ構造です。
通常恋愛ものは、一方通行の一人称視点があって、そこに本命とそれ以外のキャラが配置されて関係を築くスタイルです。
これは、感情移入しやすい反面、デメリットもあります。
推しが視聴者と噛み合わない場合は、視聴者は離れてしまう。
一方、かぐや様は告らせたいでは会長とかぐや様は既に相思相愛で結末は決まっています。しかも二人共全くブレていない。そして、他の全ての異性キャラクターは、周辺魅力的なにぎやかしであり、誰も傷つかない構造になっているんですよね(添えた写真が矛盾していると思うのはあなたの気のせいでしょう)。
これがラブコメとしては、抜群にストレスのないおもしろ世界を展開させることに貢献していた。
3要素そろったラブコメは、競合不在でしばらく無敵かもしれない?
この三要素がそろったラブコメは、他には最近例が無い。でもまあ、似たところでいうと──高橋留美子作品もそれに近い構造ですかね。基本は主人公とヒロインは相思相愛で互いしか見ていないが、素直ではない。そしてまわりの全てが賑やかしなので、無限に物語が作れる構造になっている。高橋留美子のマンガの面白さは、HowToこそありませんが、その主人公カップルの不可侵性と周辺の群像劇要素にあると思う。
うる星やつら、らんま、犬夜叉、りんね、どれも完成されたカップルと周辺のガヤの物語になっている。
そういう意味でいうと、令和二年の秋に始まった半妖の夜叉姫はいまのところ完全無欠の相思相愛ラブコメ要素がないので、もしかしたら、ヒットはちょっとしんどいかもしれませんね。
他方、かぐやは盤石です。恋愛は盤石ではありませんけどね。
さて、ざっくりとした解説ですが、そんな令和の群像ラブコメディかぐや様は告らせたい、3期の開始を座して待ちたいと思います。