弱キャラ友崎くん〜おもしろくても俺ガイルになれなかった理由

弱キャラ友崎くん
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弱キャラ友崎くん、こっそり完走視聴したんですが、結局あまり評判になりませんでしたね。原作のほうは「このラノベがすごい!」に連続で選ばれているんですけどね。

今回は、そんな友崎くんの評価できたポイントと、いまいち広がらなかった点についての雑感。

一にも二にも共感性羞恥がしんどい

友崎くんって、ちょっと継続視聴するにはしんどい作品でしたよね。まずそのあたりについてのお話。

別記事でも書きましたが、友崎くんのスゴさは、キャラクターに付与されたある種のリアリティとその関係性にあります。

基本的には、学園モノのテンプレキャラクターではありますが、そのやり取りには絶妙なリアリティがあった。特に、友崎くんの陰キャな様子には、どうもやり過ぎていて、胸が苦しくなる人もいたんじゃないでしょうか?

友崎くんのオドオドした振る舞いは「恥ずかしく」また「失敗するかもしれない」という恐怖をかきたてるもので、見ていてハラハラしました。

これが、小説であれば地の文で緩和されるのでしょうけど、アニメになって目の前で動いていると、なかなか生々しくてしんどい、というのが正直なところじゃないでしょうか?

これは視聴を控える十分な理由になったんじゃないかと思うのです。

基本的に、アニメーションほか作品というものに対して視聴者というのは、ある種の爽快感めいたものを求めると思うんですけど、友崎くんは抑圧的だったんですよね。

一方、例に出してしまうと俺ガイルは、特定場面においてヒッキーは虐げられていますが、心の中ではかなり辛辣な仕返しをしていた。こっちは、場面内の心情まで加味すると、ある種の爽快感があった。そのあたりが難しいところだったな、と思います。

続いて──

日南葵のリア充至上主義の価値観が苦手

これは、同じくこの作品を見て、しかも視聴挫折した知り合いのリアクションからの反応の話なんですが──

劇中ヒロイン日南が友崎に提言する、リア充こそ至上である、という価値観が、どうにも受け入れられなかったと言います。

心情としては、理解できますよね。頭空っぽなパリピ人生なんて、何が楽しいの、と。しかし一方で、リア充と陰キャで比較した時に、明るいほうが楽しいに決まっている訳で、そのあたりの正しさに対しての反感みたいなものが、挫折した知り合い視聴者からはヒシヒシと感じられた。

日南への反感というのは非常によく分かるんですが、実は見ていくと&原作読んでる人はわかっていると思うんですけど、劇中で友崎はそれに対して同じように反感を抱いて、「リア充は全てではない」と、別の答えを出しているんですよね。

そして、それはおそらく、視聴挫折した人たちのリア充への苛立ちを緩和するものに鳴っていたと思います。

ただ、それを伝えるのに、アニメ版でいえば、ほぼ12話使ってしまった。このあたりの構成もちょっと難しかったなって思います。

その上で──全話完走した感想としては──

でもこれ結構よくできていたよ?

途中、挫折しそうになった瞬間もありましたけど、12話通してみると、非常に良く出来た作品だと思いました。

特に12話における、菊池風香の友崎への言葉と、友崎の日南への言葉は、非常に物語的にもメッセージ性の強い、素晴らしいものでした。このあたりの二人の言葉や気付きというのは、「このラノベがすごい!」に選ばれるだけのことがある、大事なポイントでした。

この12話のエピソードが広く伝わっていたら、ちょっと評価は違ったのかもなと思います。

それから、先に述べたように「リア充が全てではない」「作られたキャラクターは嘘である」というのも小町的にポイントが高かった。

そうであると分かっていたら、視聴を続ける人がいたんじゃないかと思うのです。ただ、劇中後半の展開の感動を呼び起こすには、その前段としての苦労がどうしても必要で、構成的にもちょっと損をしちゃていましたよね。

正しく伝わることで面白いと思ってもらえたかもしれないというのは、ちょっとありました。

さて、まとめですが──

俺ガイルに評価が及ばなかった理由

以上のとおり、友崎くんが俺ガイルになれなかった理由は、客観的にみて、ラノベなのに現実に対してのリアリティがありすぎたことだと思っています。

俺ガイルという劇中における比企谷八幡というのは、友崎くんと同じ陰キャであっても、ああ見えて、かなり能力の高いダークヒーローめいたキャラクターだと思うんです。すべて、斜め上の方法でもって問題解決をするキャラクターですし、後半はかなり無双していましたよね。

つまり、あれは学園におけるファンタジーなんですよ。

対する友崎くんというのは、あのオドオドした弱々しい感じや考え方も含めて、ちょっとリアルすぎる生々しいキャラクターになっていた。それがアニメとして動いていると、どうも抵抗感があった。もう少し比企谷八幡的なひねくれた主人公なら、もうすこし、ギャグに走ったなら、あるいは、キャラデザインがもう少しデフォルメされていたなら、良かったのかもしれません。

でも、そうではなかった。

リア充ということに対して、陰キャ方面からかなり本気でぶつかっていってしまっていた。だからこその小説の面白さなんでしょうけど、一方で非常にアニメ化するのが難しい作品だったのだと思います。丁寧にやればやるほど、見ていてしんどいものになったと感じています。

やっぱり皆さん、どんな形であれファンタジーを求めているってことなんでしょうね。

さて、そして2期は──どうなんでしょうね? 続くようにも見えますが、今の空気感だとなかなか難しそうですが・・・段々とおもしろくなってくるらしいので、もし続くなら引き続き見ていきたいと思います。

とりあえず完走お疲れさまでした(多方面に向けて)。