風の谷のナウシカ〜いまあの名作アニメを大画面で見るべき3つの理由

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令和二年、コロナ禍の中にあって、映画業界が営業再会に際して、集客の呼び水のために各種施策を行っています。その一環として、スタジオジブリが、ジブリの著名四作を再上映するという素晴らしい状況が今あります。

対象作品は「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」「ゲド戦記」。うち、「ゲド戦記」は、たぶん近々公開するアニメシリーズの興行を見越してのことでしょうか。そして「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」は、言わずと知れた、スタジオジブリの大ヒット作2作。そして最後に「風の谷のナウシカ」。

何故、ナウシカなのか? そこには幾つか幸運が重なったと思っています。例えば、実はつい数年前、ナウシカのブルーレイ化にあたって、当時のナウシカの劇場公開時の色味の再現をデジタル・リマスターによって実現することができた、という話とか。

この劇場公開時のリマスターによる再現には賛否あるのですが、それは置いておくとして──今までは当時の公開作を劇場でかけても、当時の雰囲気は出なかったという事情がある。しかし、デジタル・リマスターによってこれが可能になった。ならば、今一度皆に見てもらっても良いだろう、という判断をしたというのは大いに有り得る。ニクい。鈴木敏夫さんニクいですね。

(C)1984 Studio Ghibli ・ H 

で、「風の谷のナウシカ」を我々は劇場で見るチャンスを得ることになる訳ですが──作品内容は申し分ありません。しかし散々見てきたアニメーションでもあります。これを改めて劇場で見ることで違いを感じることができるのか? 実は半信半疑ながらも劇場へ足を運びました。
そしてその結果──見て正解でした。ええ、やはり劇場映画は劇場で見るべき。本当にそう思わせる感動を得ることができました。

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デジタル・リマスターによる当時の雰囲気の再現

ぶっちゃけ、ナウシカはシネサイズでもないので、あまり構える感じもなく、大画面テレビ程度だろうか、なんて思って鑑賞に望みました。しかし、そこに集いし者たちは、生粋のジブリファンですよ(私も含め)。もうね、しょっぱなから気持ちは正座ですよ(私も)。物音一つ立てません。しかし私はポップコーンをかじりつつ、おそらく劇場でナウシカをみるということは、こういう雰囲気だったのだろうとというノリで、フランクなスタイルで立ち向かいます。ただ、それも冒頭のユパ様が廃墟を歩き回る辺から、直ぐに映画にのみ込まれ始めて、不遜な振る舞いは消え失せます。襟を正したといってもいい。まず最初に感じたのは、腐海にのまれかけた街というのはこういう雰囲気なのか──いままでTVでは見えなかった細部のディティールがとても興味深い。そして、冒頭のあのイントロが流れ始めると、その場にいたジブリファンは鳥肌とともに、その映画の世界にどっぷり没入することになる。大画面ナウシカ舐めてました。

画面の隅々、映画の隅々に行き渡る配慮を堪能する

やっぱりね、何が凄いってね、あの当時であのクオリティ、あのリアリティ、あの画作り。細部まで書き込まれた、ナウシカの世界、風の谷、人物の表情、所作、振る舞い。TVでは、いままでは流して見ていたようなディティールが、劇場の大画面に描かれることで、ワッとこっちに迫ってくるんです。その迫力はやっぱり凄いですよ。蟲たちの迫力、王蟲の甲羅の軋む音、地響き、シタールのみょーん♪というSE!ああ、宮崎駿は劇場でこういうものを視聴者にぶつけたんだな、というのがありありと実感できました。何が良いってね、視聴する側はだいたいこのアニメを何度も見ているから、よそ見ができるんです。メイン以外をじっくりとみる余裕があるんです。そして、その隅々をよくよーく見るとね、本当にディティールが素晴らしい。細かな動きが素晴らしい。例えば、アスベルの母親がナウシカを逃がすシーンですが、ナウシカはアスベルの母親と抱き合うんです。その時、ちゃっかりテトまで母親に頬ずりしていることに気づいたり。そういう、細かなディティールが本当に丁寧につくられていて、それは大画面だからこそ堪能できたと思えた。十分に大画面で見る価値がありました。というかもう一回見たい。

あれ?ナウシカってこんなに美人だっけ?

そして、何よりも驚いたのが──主人公のナウシカですね。昔のアニメージュでナウシカはキキが出てくるまでアニメージュ人気投票で常に1位だった記憶があるんですが、正直幼心に、そんなにか?なんて思っていました。まあ、アニメージュは鈴木敏夫さんが編集長なので、多少のサービスは会ったのだろうとは思いますけど、どうも当時の幼い私にしてみても、ナウシカは男前だけれど、ヒロインとして一番かという、とそんな感じはなかったんです。止め絵のセルカットだと、ちょっと微妙だったりしますしね、ナウシカ。

(C)1984 Studio Ghibli ・ H 

しかし、これが、大画面でアップになって、泣いて、笑って、悲しんで、憂いて、ぐりんぐりん動き回るナウシカをみていると──あれ、この子めっちゃ美人じゃない? というか、人として美しすぎるでしょ、と心を奪われ始めるのです。あの、天才監督が当時まだ、ほんのちょっとだけ若くて──酸いも甘いも噛み分ける前の監督が(笑)、理想化された女性についての先入観をこれでもかとぶっこんで、本気で年頃女子を描くとどうなるのか、それを動かすということはどういうことなのか? もう、魅力的な女子の、躍動する女子の、すばらしい動きがてんこ盛りですよ。キャラクターというのはここまで生々しく描くことができるのか、と驚歎しましたよ。

(C)1984 Studio Ghibli ・ H 

大画面で動く亜麻色の髪をしたナウシカ、最強ですね。顎細いし、野暮ったい感じないし。これはランキング一位になりますわ。TV画面では気づけない魅力が、これでもか、というぐらい大画面から溢れていました。これは、本当に劇場で見てよかったと思える所です。もうナウシカの動いているところだけ見ていたくなる。何度でもみていたくなる。ダイジェストでMADつくりたくなる、そんな気持ちにさせてくれました。

(C)1984 Studio Ghibli ・ H 

とまあ以上、大きく3つ、大画面で見るべき理由をあげましたが──まあまあそこを差し引いても「風の谷のナウシカ」は、現代にも通じる、色褪せることのない哲学を内包する作品です。

荒廃した世界、腐海という概念、虫愛でる姫、戦争の悲惨さ、人の欲望と愛。その全てが入った物語で、劇場でそれを見ることで、あの物語がどれだけのメッセージ性を秘めているのか、改めて実感することが出来ます。それは、たぶん、見る者の日常に影響を与える力を持っていて、同じ時代にこういう作品を見れることは本当に幸運だなと、改めて感じさせてくれました。
ホント、見てよかったです。というか、ジブリ好きで見ていないなら見たほうが良いです。ゼッタイに。

あと、関係ないですけど風の谷のナウシカ歌舞伎がめっちゃきになるです。

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