結局、僕らはリゼロの何を面白いと感じているのか?

Re:ゼロから始める異世界生活
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リゼロ面白いですよね。

ヒット理由の分析はこないだ雑にしましたが、2期を見ていて相変わらず飽きません。何故この作品は魅力的なのか。なぜ、リゼロは世代と時代に直撃したのか? ちょっと見ていてそのあたりに一つ思うところが出てきたので、語ってみたいと思います。

リゼロの面白さ──もちろんシナリオが優れているとか、ベアトリスがカワイイとか正体が知りたいとか声優がいいよねとか、ラムレムエミリアは鉄板だよねとか、スバルキュんとロズワールもいいよねとか、色々あるんですが──それは、とにもかくにも一点に集中すると思っています。

こないだ見ていてはたと気づきました。

死。

それは死です。

スバル君の死です。

スバル君が死ぬと嬉しいんです。

スバル君が苦しむと楽しい。

私はスバル君が死ぬと楽しい。

※CV水瀬いのりでどうぞ

何をサイコパスみたいな発言をしているんだろう? と思うかもしれません。ですがやっぱり、このリゼロという物語は、スバル君の死に楽しみのすべてが詰まっていると思うんです。

それに気づいたのは、一期後半から二期の前半にかけての展開です。一期の後半はスバル君無双でしたよね。あれが何度も死んだスバル君とは思えない。とってもたくましい活躍でした。死なないしさ。でも違和感がある。正直、大活躍するスバル君とか「ちょっとなにそれつまらない」と思って見ていました。そして二期に入ります。二期前半はおさらいと一期の惰性でした。大罪司教の1人を倒して、エミリアとも関係が近づいて、スバル君は次なるミッションに向かう。そこで強欲の魔女に出会って、試練を受ける、パパとママが出てくる。レムはしばらく退場。

そこで唐突にお涙頂戴があったりするんですが──え、異世界モノでパパ・ママだしちゃうんだ? え、というか何そのハートフルな展開? リゼロってさ、もっとこう殺伐とした、血で血を洗う感じなんじゃないの?ハートフルボッコのほうじゃないの? というかイマドキ「学校は行くもの」という、倫理観とか超うっとおしいんですけど? 異世界でさんざんキャラぬっころしておいて、日常の倫理を持ち出すと、薄っぺらさ全開になりません? というか、このノリいつまでつづくの? 結構シンドイんですけど、とワタクシ不謹慎にも思ってしまいました。

しかし、しかしです、その後にはふたたび、いつもの奴がやってきました。スバル君、殺されるんです。久々に来たーと思いました!

正直な所、あまり死に戻りしすぎるのもどうなの? どうせまた同じ展開なんでしょ? って一期の頃思っていたんです。ですが、二期で再び、惨殺されるスバル君を見ると、ああ死に方というのはこんなにバリエーションが出せるんだ。そして、スバル君が死ぬと物語に謎が増えて、展開が増える、こんなにもドキドキする、ワクワクするんだ、と。死に戻り──コイツはなんて楽しい、卑怯なシステムなんだ、と思い至る訳ですよ。

ずるい、本当にずるい。めちゃくちゃ楽しい。

スバル君が死ぬと楽しい。

死に方が楽しい。

絶望具合いが楽しい。

泣きわめくのが楽しい。

苦しむと楽しい。

血を流すと楽しい。

はらわた垂れると楽しい。

楽しい!楽しい!楽しい!楽しい!死、死、死!

あ”あ”あ”、脳が震える!

※CV水瀬いのり+松岡禎丞でどうぞ

不謹慎?いえいえ、これは物語とスバル君への信頼の結果だと思うんです。死んで戻って苦しんでも、スバル君はちゃんと復活して戻ってくる強い子なんです。彼は、戦った分だけ毎回報われて、報酬を得るんです。

そして、それらの達成は、視聴者にも同じ様に感動と喜びを与えてくれるんですよね。こんなに主人公に対して「良かったね」と思える作品、めずらしい。緩急がすごいというか、アメとムチがすごいというか──つまりは、「死」からの「良かったね」のセットが、極上の楽しさを与えてくれているんだな、と。そして、スバル君の死は、そのすべての「面白い」のスタートなんです。

という訳で、リゼロの最も面白いところは、スバル君が死んだ時なのです。全てはそこに帰結しそこから始まると気づいた、令和の夏でした。