体操ザムライの評価と感想〜見逃したら人生を損すると思う

体操ザムライ
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体操ザムライが完結しました。

オリジナルアニメーションであること、昨今のアホなアニメファンからみるとややとっつきづらい内容であったことから、評価が真っ二つにわれていましたね。

もちろん、僕は始めっから最後まで高評価です。これぞ物語、これぞドラマ、これぞエンタメという、クリエイティブの醍醐味がパーフェクトなまでに詰め込まれた良作でした。

今時珍しい、ちゃんと作られた作品

体操ザムライはまずキャラクターがとても丁寧に作られています。出てくる登場人物の全てに配慮が行き届いている。モブキャラさえも、味わい深い。とくに、主要キャラクターの抱える葛藤とその変化は見ていてハッとするものがあります。

例えば、主人公の荒垣城太郎は、一見天然なようにみえますが、実は言葉にできない、表面に現れることのない、苦しみをずっと抱えていたことが分かりました。娘のレイチェルも、そんな父親をみて、奮起して、母親以上に父親を支えなければならないと考えて、ずいぶんと無理をしていました。

そこに、英国ロイヤルバレエ団出身で、トップバレリーノとしての活動に疲弊したレオが現れることで、物語に変化を生み出します。レオはレオで、葛藤をかかえていましたが、荒垣家に居候することで、彼らの奇妙な共同生活が始まるのでした。

ひょっとしたら暗く些細な物語をエンタメにする

城太郎、レイチェル、そしてレオの逸話は、設定や文章で見てしまうと、やや地味なお話にしか見えませんが、これが劇中アニメでは清涼感のあるキャラクターやコメディを交えることで、明るく嫌味なく描かれています。

この物語のポイントは、一人ではあるいは二人では、ちぐはぐで苦労しかない登場人物たちが、3人以上あつまることで、互いに影響しあって、前向きに変化してゆくということ。それぞれ3人は得意なところと苦手な所があって、一見、なんの力もないようにみせかけて、各々影響しあって次第に前向きになっていきます。

三人のボケのポイントが違うところも可笑しみを誘います。城太郎は天然さで、レイチェルは幼さゆえのちぐはぐな振る舞いで、レオは異邦人としての文化の違いから、物語に明るさを与えます。その配置は、他のキャラクターとの掛け合いも含めて、絶妙なものでした。

丁寧に作られた入れ子の物語

さらにいうと、この物語は伏線と回収の関係がほんとうに丁寧に作られています。

ある振る舞いには必ず理由があって、それが明かされる。あるいは何気ない振る舞いが、あとに繋がって、重要な結果や驚きをもたらす。これぞ物語、これぞシナリオ。

昨今の、設定とキャラクターでゴリ押しをする「中身のない物語」にはない、本当のドラマが息づいていました。

絶妙なバランス感覚のコメディ

体操ザムライの面白いところは、そこだけではありません。

この話をまじめーに作ったら、古いNHKドラマになってしまいます。そうではなくて、伸びやかに、おもしろおかしく、キャラクターを魅力的に描いて見せて、さらにファンタジーもまぜてみせたのが体操ザムライなのです。

コメディ方面の体操ザムライの面白さは、絶妙に定石を崩すセンスの良さにあります。ありえない設定や展開やコメディも行き過ぎれば感動が薄れます。劇場版クレヨンしんちゃんをちょっと思い出してしまうような、ギリギリの笑いと感動の絶妙なバランスを取ってみせたのが体操ザムライでした。

以上の要素を綺麗にやりきった秀逸な物語

体操ザムライは以上のような特別だけどあたりまえのことを、高度にやりきった秀逸な物語でした。

こういう作品をだしてこれるあたりが、MAPPAの強さだよなあ、と思います。シナリオライターの村越繁と監督の清水久敏のセンスとバランス感覚の良さよね。

願わくば、ずっとこの優しい体操ザムライの世界にひたっていたいのだけれど、生憎完結してしまいました。続編はたぶんないだろうなあ? でも劇場版的に2時間にまとめたりするのはアリかもね。あと実写もできるかも。

それ以外でいうと、同作品の監督と脚本家のすばらしい別作品が、今後も生み出されることを切に願うばかりです。

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