『Vivy -Flourite Eye’s Radio-』が始まりましたね。
現在二話放映済で、なにやら特徴的な未来世界でアンドロイドVivyを描く物語になりそうです。
長月達平先生の、戦翼のジグルドリーヴァやリゼロとはうってかわったテイストでした。そんなヴィヴィの第一話と第二話を見た雑感をば。
Vivyのあらすじと世界観について
大枠のお話としては、AIが発達した未来世界で、初めての自立人型AIとして誕生したヴィヴィが、100年後に起こるアンドロイドの暴走を防ぐために、孤独な戦いに望む。
主人公のヴィヴィという女性型AIアンドロイドは、その根底に人を幸せにするというミッションを抱えており、目的が合致するかぎり、人を助けようとします。しかし、アンドロイドであるがゆえに、いろいろと残酷な世界で苦労をするという、そんなお話になっています。おそらく、百年かけて様々な人達と出会い、最後に幸せを掴むものと思われます。世界観としては、今より少し遠い未来のお話ですよね。
そして世界観のビジュアル的には──これは、ゲームのデトロイトビカムヒューマンですよね。
デトロイトビカムヒューマンは、デトロイトを舞台にしたアンドロイドの反抗を描くものですが、あれは黒人の人権運動と反抗をベースにしています。Vivyにおいてもアンドロイドが蜂起する訳ですが、着想の一部は、デトロイトビカムヒューマンにありそうです。
もっとも、ヴィヴィのほうは、日本的な情感に基づいた展開になるんじゃないかな、と予想しています。今敏の千年女優とか、アンドロイドの寿命というタイムスケールを逆手にとった、切ないものを予想しています。
さらに見ていて思ったのは、この作品にはSFでありながら長月達平先生の良さがちゃんと現れていること。
長月先生の残酷物語の復活
長月達平というと、やっぱり第一の特徴というのは主人公の残酷物語だと思うんですよ。
リゼロでは、主人公のスバルくんは何度も殺されて苦しんで前に進むんです。リゼロというお話は、スバルくんがのたうち回って苦しむさまが楽しいというのは、以前記事に書いたとおりです。
しかし、その後に長月先生が作成したジグルドリーヴァのお話では、それが出来なかった。考察としては「長月先生は生身の女の子を苦しめる事ができない紳士」だから(リゼロでも直接的な残酷描写はなかったし、スバルくんに必ず救われている)、お話が中途半端になったのだと思っています。
で、ヴィヴィです。
今回も女の子主人公だし、苦しめることできないんじゃないかなー、なんて思っていたら、容赦なくやってくれました。
ヴィヴィはひどくしんどい立場に追い込まれてボロボロになって戦うことを強いられていました。
ここでふと気づくのです。「ああ、生身の女の子じゃなくて、アンドロイドの女の子なら、(心はともかく)肉体的痛みも感じないし、痛めつけることができるんだ」と。
ここに、殺しても死なない女版のスバルくんが誕生しました。
もう紳士なのかわかりませんけど、少なくともリゼロと同じ構造になっていた。うん、これこれこういうのですよ、長月先生は!
残酷な事件を強いられるヴィヴィ
ふりかかる事件も残酷です。フェイトゼロかとおもっちゃいました。
衛宮切嗣がフェイトゼロにおいて劇中後半に迫られた、究極の選択をもう2話目からやっちゃうんです。というかパートナーのマツモトがクズで清々しい。
そして、ヴィヴィのキャラクターですが、この寡黙な感じはレムっぽいですよね。感情がないバージョンのレム。しばらくブチ切れて暴走する感じではないでしょうが、これも良く見ると、長月先生が生み出す鉄板で面白い展開の上に乗っかっているキャラクターになっています。
ヴィヴィは、SF版のリゼロになったらおもしろい?
だれもがヴィヴィ(スバルくん)の苦労に気づかない。ただひたすらに、肉体を破壊されても復活して、助けたい人類(エミリアや仲間たち)の為に、孤独に奮闘する物語が、ようするにヴィヴィ(リゼロ)という物語です。
あー、これはひょっとすると良作になるかもです。令和の今は、SFというのは人気が出づらいのがちょっと悲しいですが。。
いずれにせよ、引き続き見ていきたいと思います。