ダイナゼノン感想〜グリットマンシリーズに宿る、円谷特撮の魂について

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ダイナゼノンが終了しました。

ワンクールなのが物足りないくらいの作品でしたね。個人的には春アニメでは一番だったかもしれません。

そんなダイナゼノン──というかグリットマンシリーズを振り返りつつ、円谷特撮との関連についての解説してみたいと思います。

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グリットマンシリーズについて

ダイナゼノンは、グリットマンシリーズのアニメ化作品として作られたものです。

グリットマンの出自は1994年に放送された電光超人グリッドマンという、実写特撮でした。それが、後に2018年のSSSS.グリットマン、そして2021年のダイナゼノンへとつながっています。作品のポジションとしては、電光超人グリッドマンという実写世界に隣接した関連世界や並行世界といった扱いになっています。実際、前作のSSSSグリッドマンでは、最終回で実写につながるような描写がありました。

その作品コンセプトはダイナゼノンもグリットマンも同じように、初代に通じるものがあり、怪獣や変形メカとの合体を中心に描いています。旧来の円谷作品にように大人が活躍するのではなく、少年少女が活躍するというのも同じです。

円谷とアニメーション制作会社のトリガーは、これらの作品群をグリットマンユニバースとして、シリーズ提供することを考えているようです。

アニメ化作品と初期グリットマンとの違い

初期の特撮版グリットマンは良くも悪くも、子供向けの特撮感が全開の作品でした。

円谷作品としては、この後に、平成ウルトラマンシリーズが放映され、大人気を博すわけですが、グリットマンにはその試金石となる試み──電脳空間での戦いや、強化パーツの装備など、様々なものが既に組み込まれており、そういった側面ではとても興味深い作品になっています。

実写特撮のウルトラマンシリーズは、平成以降で、小さな子どもたちにとっての新たな人気ジャンルとなりましたが、ではグリットマンはどうでしょうか?

グリットマンがアニメ化されてはっきりと理解できたことがあります。それは少年少女×怪獣×合体ロボというのは、実写ではなくアニメーションにこそ、より親和性があるということです。

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

ウルトラマンシリーズは、隊員は大人であり仕事として地球を守っていますが、グリットマンシリーズは葛藤を抱えた少年少女たちが、巻き込まれた形で戦いに望んでいます。前者は、実写化に際してある種の社会的なリアリティがありますが、後者は実写でやるにはいろいろとハードルがあります。中でも際立つのが、ウルトラマンとグリットマンではターゲティングが、かなり大きくずれてしまうという問題によって。

グリットマンでは、しばしば思春期の葛藤をテーマとして扱います。この葛藤からくるドラマというのを楽しめるのは、実はウルトラマンシリーズを好む若年層よりも、もう少し上の層なんですよね。ところが、その年齢層は、既に特撮を子供っぽいものとして楽しめない年齢になっている。つまり、ある程度のデフォルメをする必要があるわけです。そのままだと少年少女のお話は痛々しくなってしまう。

そこでグリットマンは、SSSSシリーズで、思春期の葛藤をアニメーションとしてうまくデフォルメすることで、良作に仕上げてみせたのです。

なぜおもしろかった? ダイナゼノン&グリットマンの勝因

ダイナゼノンとグリットマンの勝因は何でしょうか?

それは、アニメーション制作会社TRIGGERによる、質の高い作品づくりにありそうですよね。メカデザインやキャラデザイン、そして怪獣のデザインが秀逸です。それらを動かす際のアニメーションも高品質でした。

しかし何よりも特徴的なのは、そのキャラクターたちの自然な演技や会話ですよね。登場人物の小気味良い会話ややりとりというのは、ダイナゼノンやグリットマンの魅力を大きなものとしていました。

これが、旧来の巨大ロボ物のようなケレン味のある熱血演技だけの演出であったなら、それはガオガイガーのようになっていたかもしれません。しかし、そういう選択はしなかった。TRIGGERのクリエイターと脚本の長谷川圭一さんは、初代のグリットマンにある少年少女の思春期という側面をしっかりとリアルで生っぽい形として反映して、小気味良いセリフのやりとりを描いてみせました。

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

彼らの抱える葛藤は等身大のもので、幅広い人達の好感を抱かせた。特撮で実写でやると臭くなる演技も、アニメーション化してさらにリアルに振るという逆手法の演出をすることで、魅力的なものに作り変えてみせたのです。

それらは、功を奏して見事に魅力的な作品へと仕上がりました。円谷シリーズのなかでも、変わり種とも思える少年少女を扱った作品がそこに誕生していました。

果たしてグリットマンシリーズは円谷の異端なのか?

しかしふと感じることがあります。

はたして、このグリットマンシリーズというのは、円谷にとって完全に異端なのでしょうか?

実は、リアリティの追求という話でいえば、グリットマンシリーズというのは、まったく正当な円谷特撮シリーズの後継作品といえる構成をもっています。

かつてのウルトラマンというのは、リアリティを追求するために、子供向けにもかかわらず、かなり大人びたドラマというのもやっていました。それは、その当時の実社会の反映であり、当時の大人たちであればこう振る舞うであろう、というものをリアルに反映した結果でした。

ダイナゼノン&グリットマンシリーズが扱うのは、大人ではありません。ですが、アニメーションのクリエイターたちは、かつての円谷作品と同じように、しっかりと少年少女のリアルな在り方というのを物語に取り込んできました。

円谷は、リアルな作品を作るからこそ、実感をもって怪獣や巨大ヒーローを感じることができるのだ、ということをしっかりとアニメ版でも証明していました。

ウルトラマンシリーズというのは、間違っても「熱血ヒーロー物」ではないんです。社会背景もふくめたリアリティを追い求めた上に、怪獣や巨大ヒーローやロボが存在するからこそ、独特の魅力を放っているのです。

グリットマンユニバースが、その円谷の求めるリアルを忘れない限り、今後のシリーズも引き続き、魅力的なものになるであろうと予想されます。

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

これからは、どんなリアリティをもった「今」が展開するのか、ちょっと楽しみですね。

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