ヒーローアニメ 『劇場版プロメア』は、濃密なボーイ・ミーツ・ボーイを描いてポリコレアンサーを試みる。

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©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

もしあなたが、プロメアを創ったトリガーという制作会社に詳しいコアなアニメファンであったなら、この作品はいくつか気になる点がある物になるかもしれません。トリガーの才能をたった2時間に押し込めなければならいという制限に加えて、既視感を伴うキャラクターや展開があなたを少し物足りない気分にさせる可能性があります。

しかしそうではなくて、あなたがもし、この閉塞した時代に「爽快感で胸のすくようなアニメーション」を探していたのなら、とてもおすすめできる作品です。

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

プロメアは、熱血ヒーロー物語です。簡単にまとめると「熱血ヒーロー男子と、クールなヴィラン男子の、出会いと誤解、相互理解、そして和解の物語」です。メインキャストは松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人。役者さんを多く使っています。

この映画を作ったトリガーという制作会社は、元々はエヴァンゲリオンを作ったことで有名な、ガイナックスから独立したスタッフが立ち上げた会社です。彼らが生み出すアクションシーンは定評があり、迫力や爽快感は折り紙付きです。もちろんお話や音楽もエンターテインメントとしてすばらしいものがあります。劇伴を担当した澤野弘之は、若いながらもガンダムUCや進撃の巨人等の楽曲制作を行なった実力派です。彼は、このアメコミを意識させる無国籍な物語に、MTVのPVもかくやというようなゴキゲンな音楽をつけ、盛り上げてくれました。脚本の中村かずきさんは、グレンラガンという熱血ロボット作品で有名な脚本家です。歌舞伎にも通じる口上を繰り出すキャラクターたちが、縦横無尽に物語を駆け回ります。

熱血ヒーローアニメと言われると、子供だましと思われるかもしれません。或いは、男子しか楽しめないのではないかと、思うかもしれません。いえいえ、プロメアはただの熱血ヒーローアニメではありません。例えば、もしヒーローアニメを、昨今流行りのポリティカル・コレクトネスを踏まえて作ったらどうなるのか? プロメアは、その問いかけについての、一つのアンサーにもなっています。

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

実はプロメアは「ボーイ・ミーツ・ボーイの物語」でもあります。

これは別にプロメアがLGBTを扱っているという話ではありません。主人公のガロは、正義を追い求めた結果、ジェンダーに対しても、悪に対しても、差別や不正に対しても、情を持って公平に当たるべきだと考えます。それはレスキューという行為を通して、敵対するヴィランのリオ・フォーティアに友情と愛を伴って向けられるのです。思想信条を異にする人物の「熱」と「熱」がぶつかりあった時、人は何を選ぶべきなのか? 多様なライフスタイルが容認される現代社会に於いて、それはしばしば考えるべきことですが、プロメアはそこにも真面目に向き合っています。悪を倒して終わりではないんです。

その答えは、物語後半のガロとリオの”ある特別なシーン”による交流を経て示されます。そして、多くの視聴者が「世の中は本当はこうだったらいいね」と思える、確かな結末にたどり着いています。

全編通して繰り出されるアクション。アメコミにも通ずるキャラクターたちは、男子も女子も伸びやかに活躍し、鑑賞後の後味の良さもピカイチ。もし興味を持ったなら、これは絶対に大画面&大音量で堪能すべき映画です。

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