魔女の旅々:かわいい顔して14歳とは思えない言動のイレイナは、早熟が求められる時代を象徴する?

魔女の旅々
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魔女の旅々のアニメが開始されました。

原作は以前解説したとおり、主人公イレイナのモノローグで展開する、旅物語です。映画で言えばロードムービーにあたります。そして、てっきりアニメ版もそんな始まり方をするのかと思いきや──第一話は魔女になった経緯からのスタートでした。

原作とは微妙に順番が入れ替わっている感じですね。

これはこれで良いのでしょう。アニメ化にあたり、視聴者の興味を引くために、どうしてもこのような順序にする必要があったのでしょうね。それが良いか悪いかは、細かくは全話終わってみるまでわかりませんが、個人的にはどうしても気になってしまうが、イレイナの「できすぎた子」としての一面が目立ちすぎたことと、「両親からの道徳の伝達」が、先に挿入されてしまっている事ですかね。

原作の方は、18歳前後の天才少女なので、ある程度落ち着きも有り、モノローグとしても納得できるものがあります。さらにいうと、巻き起こる事件も必ずしも善悪で割り切れないものがあって、寓話的なんですよね。

それが、アニメ版のこのスタート(第一話の話です)になると、魔女になったあとの完全無欠な私ツエーしているイレイナがそのまんま幼くなって振る舞っているような感じに見える。14歳の言動としての違和感がすごい。両親に敬語使っているし。そして師匠&両親の道徳の押し付けがどうもうっとおしいと感じてしまいました。一話のエピソードと道徳話が先にあると、物語に変な線引がされてしまうような? 原作どおりだと、イレイナの性格や劇中世界の無情感を理解したあとなので、割と納得感あるんですけどね。

とまあ、気になる点はあるのですが、質がとっても高いのは素晴らしい。というか、今期アニメどれもこれも頑張りすぎているけど、スタッフさん大丈夫なんですかね。

さて、オマケで見ていて気になったのは、ここ数年、早熟なキャラクターの多さですよね。「俺ツエー」「私ツエー」は、完全にある種世間の流れなんだろうな、と思えます。むしろ、ヒロアカのデクみたいなのは貴重に思える。

藤井聡太とかもそうですし、10代YouTuberとかもそう。既存のサクセスプロセスを飛び越えるルートが出てきたことによって、若くして世にその存在を示す人物というのは数多くいますよね。ただし、そこには相変わらず年齢による儒教的なバイアスに基づいた障害があることも世の常で、そことの衝突は特定世代のテーマなんでしょう。

そして、イレイナというのはまさにそういう状況を体現したキャラクターです。第一話の劇中でイレイナは嫉妬から魔女たちに排除され、見習いから魔女への昇格が危ぶまれる。物語上では師匠が彼女を引き上げたことで難を逃れましたが──これは現実世界で、出る杭にあたる人たちが、さんざんやられていることですよね。そういう願望とストレスにリーチし突破できる物語が、今後はより隆盛を極めるんじゃないかな、と、魔女の旅々の第一話を見ていて思いました。

ああ、それと個人的には魔女になって旅たったイレイナはもうちょっと大人っぽく作画してくれると、質があがるんじゃないかと思っていますが──どうなることやら。

とにかく引き続き楽しみにしています。

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