魔女の旅々感想〜期待を裏切る衝撃展開で視聴者阿鼻叫喚。だから言ったでしょ!魔女旅はツンデレ作品だって!

魔女の旅々
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魔女の旅々が3話を過ぎました。視聴者側に対するイレイナの天才美少女っぷりを伝えるために、原作とは違う物語展開で始まったアニメ版作品ではありますが、3話にして予定通りのアレな展開がやってきました。

視聴者阿鼻叫喚の巻

ええ、アレと言えばアレです。

イレイナは魔女です。魔という言葉が女子の前についているんですから、必ずしも心地よく口当たりのいい寓話ばかりを用意する物語ではないのです。

超越的な存在である魔女としてのイレイナは、そのゆく先々でホンワカした交流ももちろんしますが──時に、人の愚かな営みをただ傍観し、通り過ぎるだけのことがあります。本来、イレイナほどの魔女にとって、下賤な人の営みなど、介入すべきほどの価値があるものではないのですからねっ。

とまあ、なんかそれっぽいこといいましたが、阿鼻叫喚です。原作を知っている人ならご存知美少女イレイナさんの超越者っぷりと傍観者っぷりがいかんなく発揮される胸糞展開きました──!

海外勢の感想を見ていると、単なる萌えアニメだと思って期待していなかった人たちが手のひらを返して食いつき、単なる萌えアニメを期待していた人たちが、あまりの衝撃展開に手のひらを返して突き放していました(笑)

基本は突き放し時折デレるツンデレ物語

だってしょうがないですよね、原作がそういう作品なんですもの。そして、アニメ開始前に私いいましたよね? イレイナと魔女の旅々は、ツンデレ作品だと。

それも、特定キャラに対してツンデレするのではなくて、イレイナは超越者として、人類の営みに、そして視聴者にツンデレするんです。概ね視聴者を胸糞展開で突き放し、時にデレる作品なのだと思ってください。そうすればより一層楽しめることでしょう。

「3話に衝撃展開を入れましょう」という最近のトレンドのとおり、見事にそれをやってきた魔女の旅々は、秀作として12話まで一気に走り抜けそうですね。

魔女の正しい姿と寓話

さて、せっかく中間感想を書くのであれば、一つ論評したいと思います。魔女の旅々の特徴と、ちょっと凄いところ。

阿鼻叫喚と物議を醸し出した、魔女イレイナですが、よく考えたら、本来の西洋的な価値観でいえば、魔女って悪い存在なんですよね。

だから、超越者として、苦しむ人を傍らに置いてニヤニヤして、かたや自分の旅行願望を満喫するイレイナの魔女としての姿は、けっこう正しいものだとも言えます。本来魔女って、人に優しいわけじゃないですよね。

トカゲとかカエルとか煮て変なクスリつくって、ヘンゼルとグレーテルを食べようとして、或いは怪しげなクスリを誰かに与えることはあっても、そこには制限や禁忌があり、因果応報とそれに伴う教訓を伝える寓話が必ず存在していた。

そして、魔女の旅々はそういう魔女の有り様に対して、萌え美少女の姿をしていながらも、しっかりと本来の形を踏襲して描いて見せてると思うんですよね。つまりは、寓話を担うキャラクターとしての魔女をちゃんと体現している。

作者がどこまで意図したかはわかりませんが、魔女としての役割と有り様の説得力がたしかにイレイナには存在している。

加えて、この作品が構造的によくできてるなー、と関心した点がもう一点あります。

ロード・ムービー形式をとる魔女寓話

魔女の旅々が、最近流行った魔女モノ(まどマギとかね)と違うのは、そのタイトルのとおり旅をする魔女ってことですよね。形式としてはロード・ムービーになっている。ロード・ムービーの特徴は、まあ全体としては旅の終わりを目指して、ほうぼうを流浪するんですが、細かくは出会いと別れの集合体であり、寓話の集合体になることが多いですよね。

顕著な例は、キノの旅、狼と香辛料とかでもいいんですけど、古い人なら銀河鉄道の夜とか銀河鉄道999とかのほうがわかりやすいかも知れません。それらは、ゆく先々で出会い体験し時に助け時に傍観する、ちいさな物語の集合体になっていいます。

これが実は「魔女」という寓話の担い手と非常に相性が良かった。魔女の旅々におけるイレイナは、物語構造上、ゆく先々で「かつての西洋的魔女寓話を自在に語ってみせることができる、自由なポジション」を手に入れているんです。

これは、本当によくできたパッケージだなあ、なんて思いましたね。一から十まで物語構造を考える必要がなく、ゆく先々で自在に物語を展開できるんです。オチなくても、時間が来れば出発してしまえるし、有耶無耶にできるし、なんなら視聴者はそこに教訓を勝手に見出してくれる。便利な構造です。ずっと見ていられるし無限に物語を作れる。

そして、この構造を持っているからこそ、視聴者はイレイナに寄り添って、ゆく先々で、様々な物語を一緒に体験できるんです。しかも魔女なので無敵の傍観者っていう。

これ、けっこう凄いことだと思いますよ。

多様化した視聴者のあらゆるニーズに応える可能性を持っているってことなので。その人の琴線にふれる物語が、ひとつくらいはあるかも知れない訳ですし。あなたにとっての気に入る物語もあるんじゃないかな?

え、無いかもしれないって?

じゃあ、あなたの場合は二次創作で薄い本を──なんて、あったかもしれないエピソードまでつくれちゃうくらい、魔女旅の構造はよく出来ていて便利だな、って思いました。

そんなこんなで、魔女旅引き続き楽しみましょう。

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