デカダンスは”スルメ的作品”で、やっぱり面白くて評価を爆上げ中〜そして、5話までかかったカブラギさんの犠牲は無駄にしない。

デカダンス
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※ややネタバレあり

デカダンス、地味に放映中のSFゲームちっくなアニメです。以前レビューしたとおり「ハイジ×マトリックス」だなんて、ちょっと揶揄した言い方をしてしまっておりましたが──すいませんでした、他にもナウシカとかガンバスターとか混じっていました。というか、よく見てくと、ホントいろいろな影響やオマージュが見て取れますね、最近のアニメなので仕方がないんですけどね。

さて、5話時点の本編レビュー、ネタバレしない範囲で行きたいと思います。このアニメ、以前お伝えしたとおり、スタンダードな「萌え」があまりありません、グレンラガンですらお色気担当ということでヨーコ・リットナーがいたにもかかわらず、真っ向勝負で乳の揺れない汗臭い世界を描いています。主人公女のコだけどね。そこがウリでもありデメリットでもあると思っていたんですが、一方でものすごく丁寧に作られていて「見ごたえがある」んですよね。最近だと、こういうのは本当に珍しいと思います。エグゼロス? なにそれエロいの美味しいの? って感じ。

設定と話のおさらい

設定世界は、〜5話時点までに大枠説明されています。話の筋としてはテクノロジーの発達により人類は衰退し、その管理をゲーム世界をもつ大きな企業に委ねた。人々は魂をたぶんデジタルデータに置き換えて、以後はデカダンスとよばれる、移動都市国家を中心に地球上のある特殊な資源のリサイクルを行いつつ人類の永遠ともいえる生存バトルが繰り広げられる。そんな世界観となっています。

で、主人公のナツメちゃんは、其の中でデジタルアバターを持たない生身をもった使い捨ての人類種として生まれ、しかも幼少時の事故により、デカダンスからの管理からも外れた「バグ」という扱いになっている。その彼女に出会った、デカダンスの凄腕ハンターであるイケオジのカブラギさんが、彼女といっしょに自分と世界を変える。そんなお話。

見た感じ、関係性は「アルプスの少女ハイジ」のオンジとハイジで、設定はマトリックスにスプラトゥーンとガンバスターを合体させて、グリットマンぽい敵の親玉もいつつ、ハウルの城とか大砲の城とかが動いているような感じ(ホントにそんな感じ)。というか、どうしても過去に類型が見いだされてしまうのが、最近の作品群の悲しいところですよね。

スルメのような昨品

以前のレビューで、アクションも世界観もすばらしく、設定はイマドキのゲーム世界を下敷きにしているが、平たくいうと「ちょっと地味」である、なんてことを言ったと思います(うろ覚え)。それは「萌え」がないというのもあるんですが、2〜3話くらいから繰り広げられるデカダンスのゲーム世界はポップなもので、次第に地味さは無くなっていきます。見ていて思ったのが、この世界観を説明するのに、やっぱりどうしても4〜5話かかっちゃて、それがマイナスに働いたんだな、という印象です。見れば見るど味わい深く「スルメのよう」な作品なんですが、そこにたどり着くまでに、何度か離脱しようかと思ってしまった。

昨今は情報量が多いと「スタートダッシュ」でマイナスになる

昨今の流れだとまどマギであったように、3話でマミさんはマミるという衝撃的なシーンを描くわけですよ。魔女と魔法少女はそんな生易しい関係じゃないよ、と。あれは、前提として、我々の中に魔法少女というもののコンセンサスがとれているから出来たんだなと、デカダンスを見ていて思いました。

デカダンスはその特殊な世界を説明するのに3話以上の時間が必要だった。そして3話めのマミさんにあたる衝撃を持ってくる為には、どうしても5話までかかってしまった。この助走がマイナスに思えてしまうのは、僕らがワンクール作品に慣れてしまった、コンテンツ消費時代の結果なんでしょうね。昔は普通に2クールどころか4クールとかあったので。

5話でマミったカブラギさん&継続されるストロングスタイル

そして、劇中イケオジのカブラギさんですが、いろんなフラグ立てまくっていたんで、一時的にマミるだろうなとは思っていたんです。で、おそらく復活したあとでなんやかやして受肉してナツメちゃんと一緒に生きようENDなんじゃないかと勝手に思っていますが──それは置いておいて、5話時点で今後の展開がとても気になる、衝撃の情報提示&スピード感ある流れになってきました。そして引き続きの、ストロングスタイルで「萌え」もなく恋もなくボーイミーツガールもなく、血と汗とバトルとホコリにまみれた作品になってきました(燃えはある)。

デカダンスの意味から予測する、同作品の目指す所

さて、ここでデカダンスの意味をおさらいしつつ、つい数日前に気づいた「なんでこんな作品なのか」という話をします。

まずデカダンスとは、「十九世紀末に起こった、芸術の一派。フランス象徴派の、極端に洗練された技巧を尊んだ芸術家の一派。転じて、病的な感受性を重んじ、唯美的で背徳的な傾向」転じて「非社会的で、倦怠(けんたい)におぼれた生活をすること」となっています。これは、たぶん劇中デカダンスの中での生活を表しており、転じてある種のメッセージを込めようとしていると予想しました。

ようするに──

「デジタル&ネット&ゲーム世界の享楽に浸ってないで、おっさん(カブラギ)も、ナツメちゃんのような素朴女子をつかまえに現実世界の外に出ようぜ!」

というメッセージです。たぶんあってるんじゃないかなコレ。

もちろん、そう単純な話じゃないかもしれませんが、このデカダンスの意味と恐らく込められるメッセージからは、もう一つの予想が立つんですよね。

なぜ『萌』が薄いのか?

それは「デカダンス」から抜け出すのに、劇中内に「美少女キャッキャウフフ」とか「ボーイミーツガール」とか「天から少女降ってくる」とか「俺ツエー」とか、そういう要素を入れてしまうと、作品のメッセージが嘘になるからなんじゃないかな、と。メッセージとして「享楽(デカダンス)から出ていけ」っつってるのに、作品世界が萌えとか俺ツエーとかで満たされていたら、そこにガッツリ誘惑されてしまって、出たくなくなってしまう。それは確かに何かが違いますもんね。

※流石に深読みしすぎかな? 前提狂うと全部狂う予測なので話半分に聞いて下さってOKです。

未視聴の人は1〜5話を耐えよう

以上のお話、今時点での深読みかもしれませんが、とにかくこの昨今珍しいストロングスタイルは引き続きとても楽しめそうです。

現在5話前後で劇中世界観と人物の説明が一通り終わり、かつカブラギさんが一時的にマミっており、其の先は全く予想出来ない状態になっています。ま、予告を見てもわかるとおりカブラギさん生きてると思うんですが、今後、カブラギさんとナツメというバグが、どうデカダンスの世界からデカダンスするのか、或いはしないのか楽しみになってきました。

とにかく5話です。5話まで耐えれば、あとは見続けられる──なんて推し方をして、今回の中間レビューは締めくくりたいと思います。

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