ピーター・ジャクソン監督作品、彼らは生きていたを視聴してきました。
このピーター・ジャクソンという監督は、皆さんご存知のとおりの映画超大作ロード・オブ・ザ・リングのシリーズを撮った監督さんですね。
もともとはブレインデッドという、カルトホラー映画を撮った監督としてもしられていて、まあとにかく、才能とクセのあるクリエイターなのです。
そんな監督が、何故か第一次世界大戦の記録ドキュメンタリーのデジタルリマスター&音付けを行い「彼らは生きていた」という映画を発表した。ホラー、ファンタジーときてドキュメンタリーへとその試みの幅を広げた訳です。何故そんな事をしたのか、そのあたりもちょっと気になるところですよね。
さて、まず作品の解説からですが、これはもう見たまんま、当時の記録映像のドキュメンタリー作品です。しかし、当時はモノクロフィルムですから、これをデジタルで取り込んで、その全てに色付けをして再編集、更には新たに収録した音声やナレーションまでつけています。
映画では、第一次大戦というのは、近代兵器による戦争がどれほど凄まじいものであるのかがよくわからないまま、若い兵士たちが戦場に行ったということが強調して描かれていました。端的にいって、戦争ですから、そこはもうとてつもない地獄なんですよね。けれど当時は情報も映像もない時代ですから、戦争に行けば名誉が得られ一儲けできると思って、彼らは戦場に赴くわけです。ですが、そこでは凄惨な光景が広がっている。その様子を改めて、ノンフィクションとして描いていました。バンド・オブ・ブラザースやパシフィックとはちょっと違ったリアリティがあります。
そして、ピーター・ジャクソンが何故この映画を撮ったのかというと──お祖父さんが第一次大戦に従軍しているんですね。それで、ご自身が興味をもって、過去の祖父がどんなすさまじい場所にいたのかを知りたくなった。それを見た。そうしたら伝えたくなった、ということです。そして、その映像は、確かに、今の人達にはない素朴さと凄惨さがあって、伝えるべき情報を持っていると感じられました。
世に幾つもあるドキュメントやフィクションですが、その一つとして見ておいて損のない作品です。