ワンダーエッグに動きが出てきました。
前回、ねいるが2000年代な世界系閉塞的価値観からの脱却を試みたように見えましたが、さてはて今後はどうでしょうか?
第5話〜6話からちょっと展開に野島伸司のエグさがでてきたのでそのあたりについて、雑感。ネタバレありなので、未視聴の方はご注意下さい。
アンチの出現
さて、私のワンダーエッグプライオリティのレビューは若干アンチ気味でスタートしているんですが、それを見越したように、劇中にアンチというキャラクターが出てきました。
このアイディアは上手い。こういうところの発想はいしだ壱成主演の未成年の時にも会ったような、目に見えてわかりやすい時代性を取り込んだ要素ですね。
野島伸司はこういうのが本当にうまかった。たぶん、アンチ気味に見ている人は、ちょっとドキッとしたんじゃないかな?
彼は当時の脚本家のヒーローであり、おそらく再び矢面に立つことで批判を受けることを想定していたのかもしれません。そういうものを逆手にとったキャラクターでした。
このあたりは本当に上手いと思います。
野島脚本お馴染みのエグい展開がきた
そして次に来るのはお馴染み野島脚本のエグい展開。
なんと、大戸アイのお母さんと、先生がお付き合いする(かもしれない)という流れに。倫理的にいったら、引きこもり中の子がいるところの親が、家庭訪問に訪れた教師と恋に落ちるとか、間違いなくアウトなんですけど、そこは野島伸司。全く気にする様子がありません。
そういう展開は、事前の先生と母親のからみ方からある程度想像できた&それを思わせるフリがあったことから驚きはなかったんですが、それよりも、アイの仲間たちのリアクションがうすっぺらい。
沢木桃恵はアイと親類になることを喜び、青沼ねいるは大戸アイの先生への恋心を指摘する。川井リカは、アイが小糸ちゃんの問題がある手前、その展開は問題では?と指摘するが、そもそもみんな肝心なところをスルーしている。
引きこもり中に、その母親が、学校屈指のイケメン先生とデキちゃったら、アイには地域と学校の嫉妬とイジメが集中すると思うし、そもそものイケメン教師もかなりキッツい事になると思うんですけど、そこについては問題ないんですかね・・・?
このあたりを見るに、やっぱり野島伸司という脚本家は、そもそもの一般的な倫理観が無いのだなと理解できる。タガをはずすなら「常識ではこうだよね」を提示する必要がある。だれかがそれを指摘した上で崩さないとおかしな事になるんですけど、指摘する立場にある仲間の3人はちぐはぐでした。
そして、ああ、だからかつて高校教師ほかで「ああいう」物語をつくれたのか、とちょっと改めて納得したり。
そして大戸アイの行動が読めない
6話はその終わりに、大戸アイの学校復帰という流れで話が終わりました。それもなんだかスッキリした顔をしていました。
あのあたりは、ちょっと意味わわからない展開になっていますよね。なぜ、学校へ復帰しようとおもったのかは、次回へ持ち越しなのか、あるいは、あれで「大戸アイの行動動機」を語ったということになっているのかは、なんとも言えないところです。
しかし、断片的な「エモい」と「驚き」を積み重ねてゆく様は、やっぱりエヴァの庵野監督と同じ匂いを感じざるを得ない。
令和に脚本家がエヴァ的「僕の考えた最強のエモい物語」をやっているように見える。
さて、この後、学校に復帰した大戸アイには、おそらく様々な高校教師的なエグい苦難がふりかかると予想されますが、そのとき、彼女はどうするのでしょうか?
平成時代の破滅的ENDとなるか、それとも新たな時代の提言となるか、そういう部分では引き続きやんわり目が離せないかな。